弊社が導入をサポートさせていただいたお客様には、人事・総務部門に所属するご担当者様が多数いらっしゃいます。
今回は人事・総務部門が担う業務のなかで、予約システム導入で効率化できる業務とその事例をご紹介いたします。
目次
人事・総務部門のお仕事
そもそも人事部門と総務部門のお仕事とはどんなものなのでしょう?
改めて人事部門は何をする部署なのかを調べてみると、「人を経営資源としてとらえ、組織の中で最大限有効活用するための機能の担う部署」という理解が一般的なようです。
総務部門を調べてみると、こちらは「総務部門企業や団体の組織全体に関する事務を担う部署」と定義されていました。
企業や団体等の組織において、経営企画や、株主総会、取締役会運営の為の事務局業務、官公署への行政手続(許認可申請)、オフィスのレイアウトの計画(ファシリティマネジメント)、社内情報通信網の整備など、組織全体に関する事務を扱う部署の事
(引用)ウィキペディア「総務部」より「企業の事業部門・総務部」について抜粋引用
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%8F%E5%8B%99%E9%83%A8
人事部門、総務部門の主な業務は、
社内文書作成、給与計算、経費精算、備品管理、福利厚生制度整備・管理、契約書のリーガルチェック、採用業務、労務管理、勤怠管理、社会保険関係手続、電話・メール応対、来客応対、オフィスの管理、社内イベント企画・運営、社内コンプライアンス作成、データ集計、データ入力・チェック、安全衛生管理、特許出願、知的財産、ライセンス契約・管理
…などがあげられますが、人事部門、総務部門間でやるべき業務の明確な線引きはなく、企業によってこれ以外にもいろいろな業務が発生します。
特に上場企業などになると、株主総会などの法定業務も多く、社員数も多くなるので、労務管理、安全衛生管理の事務手続き、処理業務もひとつひとつがかなりの量になります。
また、トラブルなどの係争が起きたときも総務部門が窓口になるケースがほとんどなので、かなり気を使う仕事内容になります。
どのお仕事で使うべき?
人事・総務部門が担う業務で、予約システムを導入することによって、業務量を減らし、効率化できた事例を弊社の導入実績からピックアップしました。
定期健康診断の予約
企業の健康診断は、労働安全衛生法の第66条1項で「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない。」と規定され、年1回以上行うことが定められています。
さらに、平成27年12月から従業員が50人以上の事業者は「心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)」の実施も義務付けられました。
健康診断の実施にあたっては、おおよそ以下のような業務が発生します。
<受診者>
・ 受診案内の送付
・ 受診日程の調整(新規予約または変更)★
・ リマインド通知 ★
・ 受診結果の送付
<医療機関>
・ 検診項目・費用の調整
・ 受診予約(受診枠と日程の調整)★
・ 日程変更調整 ★
・ 受診状況の確認 ★
・ 受診結果の確認
・ 費用の支払い
<健保組合>
・ 補助申請
受診者は日常業務の都合で受信日程を決めたり、変更を希望するため、この調整が業務の大きな負担になります。
スムーズに受診者の希望に合った変更調整をおこなわないと受診率の低下にもつながるため、この課題を解決するために予約システムを導入します。(業務一覧★印部分をシステムがサポート)
参考
弊社の予約システム「リザベーション・エンジン」で導入をサポートさせていただいたお客様の運用はこのような感じになります。
業種:情報通信業(システム開発)
社員数:約300名
業種:サービス業(駐車場管理)
社員数:約700名
業種:サービス業(人事・労務の業務請負)
社員数:約130名
- 受診案内を送付する前に、受診者のリストを予約システムに登録しておく必要があります。
- 登録するにはCSVデータ等で受診者リストを作成し、インポート機能を使って取り込みます。
- 受診案内には予約システムのURL、ログインID、パスワードを記載したものを印刷物やメールで受診者に届けます。
- 受診者は予約システムにアクセスし、ログインID、パスワードでシステムにログイン後、予約カレンダー画面で受信可能な日程を選択し、予約をおこないます。
- 企業によっては会社側で決めた予約日時の変更のみを受け付けているケースもあります。
- 予約完了後、受診日の数日前になるとリマインダーメール(忘れ防止メール)が受診者に届きます。
- 受診者の予約状況は随時確認、データ出力が可能なので、それをもとに医療機関に予約データを提出し、予約を確定(変更)させます。受診者が実際に健康診断を受信したかどうかは、医療機関からの受診状況の報告で確認をおこないます。
導入するシステムによっては、★以外の業務もサポートする機能が提供されるものもあります。
また、予約管理の業務以外でシステム化したい業務がある場合や、特殊な運用がある場合は、システムのカスタマイズで対応することも可能です。
採用面接の予約
人事部門では、パート、アルバイトや派遣社員の採用をおこないますが、大量のスタッフを頻繁に採用する場合、その面接日程の調整が大きな業務負担になります。
このようなケースにも予約システムの導入が業務の効率化に役立ちます。
業種:人材派遣業
社員数:200名
派遣先企業の要望に沿った派遣スタッフ(アルバイト)を随時募集しており、全国数ヶ所の拠点で、派遣スタッフの説明会と採用面接を実施。
業務フローは、以下のようになります。
- 派遣登録の説明会日程を調整し、会場やスタッフを手配
- 媒体、メディアに派遣登録説明会の情報を掲載
- 各拠点の派遣登録説明会日程と採用面接の予約枠を設定し、予約受付を開始
- 当日分の予約者一覧データをもとに会場で採用面接を実施
拠点ごとに会場や定員、開催時間が違うため、個別に予約枠や定員が管理できる必要がありますが、頻繁にシステム設定作業をしなければならないため、以前に作った予約枠をコピーして利用できたり、拠点ごとの担当者で分業できるような機能がついていると便利です。
保養施設、保養所、研修施設の予約
大きな企業やその健康保険組合では、福利厚生として保養施設、保養所、研修施設の提供をおこなっていることがあります。
保養所とは?
保養所(ほようじょ、ほようしょ)とは、企業や健康保険組合などが、社員の研修や保養などに用いるために作られた施設である。
-概要-
主にリゾート地に作られることが多く、運営する企業の社員や組合員は、普通料金より割安な料金で利用できることが多い。また、社員・組合員でない一般人も利用できる場合もある。その場合でも、料金は周辺のホテルなどの宿泊施設より割安な場合が多い。
(引用)ウィキペディア「保養所」より抜粋引用
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%9D%E9%A4%8A%E6%89%80
保養所の利用は事前予約制になっていることがほとんどで、一般的には電話予約とWeb予約による予約受付窓口が設けられます。
一般的な宿泊施設と比べて割安な料金で利用できることもあり、人気化する傾向があるため、ゴールデンウィークや夏季休暇、冬期休暇などの特別期間は抽選予約にするケースが多いようです。
このため、保養所に導入を検討する場合、
「キャンセル待ち機能」
「抽選機能」
が標準機能として用意されているものが望ましいと言えます。
ただし、保養施設、保養所の提供は企業の業務の中でも歴史があり、各社独自の運用ルールが固まっていることが多くあります。
導入の際に、システムに合わせて運用ルールの変更ができる場合は比較的導入コストを抑えられますが、既存の運用ルールを維持する場合は、標準機能だけでは業務をカバーしきれず、システムをカスタマイズする必要性があります。
できるだけ自社の運用にあった標準機能を持つ予約システムをベースに、業務が省力化できることを最優先に検討をおこない、譲れない部分だけをカスタマイズするのが費用対効果を高めるポイントです。
社内会議室(スペース)の予約
社内会議室(スペース)の予約も総務部門の業務ですが、システムを導入することで大きな業務削減効果を期待することができます。
企業によって異なりますが、会議室予約で必要になる機能はおおよそ以下のようになります。
- 予約の対象となる会議室の管理
→会議室によって利用人数、利用時間の最小単位を設定できる - 予約状況のカレンダー表示
→日付、利用人数、会議室の種類から利用可能な会議室をすぐに探し出せ、予約ができる。 - 備品や提供物の管理
→貸出備品や飲み物などの提供を依頼できる - シングルサインオン
→社員IDなど、発行済みのアカウントで認証、利用ができる。
業務フロー自体はそれほど複雑なケースは少なく、一般的な予約システムが標準で用意している機能を利用することで、ある程度の業務削減が可能です。
この中で特に要望をいただくことが多いのものとして、「シングルサインオン機能」があります。
「利用登録のフローを省くことで利用者の利便性を向上させたい」
「社員の入者時、退職時のアカウント更新の手間を削減したい」
こういった場合には、既に構築済みの社員マスタ、社員データベースと連携したシングルサインオン機能があることで、さらに大きな効果を見込むことができます。
企業によって社員マスタ、社員データベースの構築方法が異なるため、その都度連携方法の検討は必要ですが、
CSVデータの入出力(インポート、エクスポート)による連携
API連携
Active Directory(LDAP)連携
などの連携が考えられますので、対応可否や実装経験、実装費用などを提供ベンダーに相談してみると良いでしょう。
人事・総務の担当者が導入時に気にするポイント
弊社がこれまでサポートさせていただいた企業の人事・総務の担当者が導入、あるいはサービス利用するにあたって、気にするポイントをまとめてみました。
セキュリティ
何よりも気にされるのがやはり「セキュリティ」です。
特性上、個人情報を取り扱うことも多く、ASPやクラウドサービスとして利用する場合は、共用環境で外部からの利用も可能となるため、どういったセキュリティ対策がおこなわれているかを評価項目にしています。
「アプリケーションの脆弱性対策はどのレベルで実施しているか」
「データセンターは信頼できるところを利用しているか」
「認証取得はしているか」
「サーバーやアプリケーションの運用管理は適切に行われているか」
「社内教育はどうなっているか」
各社のセキュリティポリシーや基準によってチェック項目はさまざまですが、アプリケーション脆弱性については、独立行政法人 情報処理推進機構 (IPA)「安全なウェブサイトの作り方」などの情報を参考に実施内容を問い合わせてみるとよいと思います。
データセンターは非開示情報となっていることもありますが、サーバーやアプリケーションの具体的な運用・監視方法を確認することで、ある程度信頼性をはかることができます。
セキュリティに関する社内教育の実施有無や実施内容も確認しておくべきでしょう。
サービスの運用管理をおこなうのは「人」ですので、その教育がどの程度おこなわれているかを把握することで、セキュリティに対するその企業の考え方がわかります。
企業の信頼性や事業継続性
一度導入すると、ある程度長期間の利用を見込むことから、経営事情等によって突然サービス提供が終了したり、利用ができなくなると、業務の停止や場合によっては事業に大きな損失が発生することがあります。
こういった事態を避けるためにも、提供ベンダー自体の経営健全性や事業終了時の取り決め、製品のライフサイクルを確認しておくべきです。