人気のイベントや季節限定、大人数を対象としたインターネット予約では、一度に大量の人が予約サイトに殺到し、アクセス集中による負荷でサイトが重くなったり、つながらない、つながりにくいという状態に陥ることがあります。
せっかく準備の時間や多くの広告費をかけても、予約を受け付けることができなければ大きな機会損失、信用低下につながってしまいます。
今回は、アクセス集中による負荷の発生ケースを参考に、どのような対策が取れるか、効果的なのかをお話しします。
目次
アクセス集中による負荷はどのような場合におこるのか
インターネット予約でアクセス集中による負荷が発生するケースはいろいろなパターンがあります。
人気イベントの開催を予約するケース
コンサート、展示会、セミナーなど、人気のあるイベントが該当します。
ここでは株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント様(以下、SIE様)の事例を参考にしてみます
SIE様は、東京ゲームショウ2016におけるVRゲーム試遊の事前予約で予約システムを導入、運用しました。
話題のVRゲームということで、かなりの人数が一斉に事前予約をおこなうため、アクセス集中による大きな負荷が発生しました。
出典: https://www.jp.playstation.com/blog/detail/3722/20160920-tgs2016-psvr.html
人気のタレント・芸能人が出演するイベント、人気ゲームの体験、試遊ができるイベント、大々的なプロモーションを打つイベントなどで予約を受け付けるケースでは、大人数が一斉に予約サイトにアクセスするため、大きなサーバー負荷が発生することになります。
夏休みや連休など特定日の予約を行うケース
土曜日・日曜日、連休のキャンプ場やバーベキュー場など、多くの人が予約したいと思われる日程の予約受付もアクセスが集中するため、注意が必要です。
山梨県 白州・尾白の森名水公園「べるが」様は、「子供たちが主人公」をコンセプトに、日本でも有数の自然環境に囲まれた公園・キャンプ場・バーベキュー場を運営されています。
ベルガ様では、60日前の0:00から予約受付を開始するため、お盆やゴールデンウィーク、連休の60日前の0:00に予約を取りたい人のアクセスが集中します。
出典: http://www.verga.jp/
同様のケースで、東京都江東区にある都立公園『木場公園』の施設運営、管理をおこなわれている木場公園サービスセンター様では、完全予約制のバーベキュー広場のインターネット予約サービスを提供しています。
毎月10日に翌月一ヶ月分の予約受付を開始するため、受け付け開始時刻になると予約を取りたい人のアクセスが集中します。
出典:https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index020.html
ASPサービスやクラウド利用における負荷発生時の制約に注意
一般的なASPサービスやクラウドの場合、サーバーは他の利用者と共用となるケースがほとんどです。
そのため、共用している他の利用者の負荷の影響を受けることになり、運用の支障となるような負荷を引き起こすようなケースでは、『一時的なサービス利用の停止』や『アクセス制限(使用帯域の制限など)』、場合によっては『利用を断られる』といった制限を事業者からかけられることがあります。
制約事項の有無や制約事項適用の条件は、利用規約やSLA(Service Level Agreement)に記載されていますので、事前にしっかりと確認しておきましょう。
具体的な負荷への対策方法の例 -専用環境で運用する-
『予約サイトがつながらない』、『システムが重い』といった事態で機会損失が起きるのを防ぐための対策として、専用環境で運用する対策方法をご紹介します。
共用環境では、他の利用者とサーバーを共用で利用するため、自由にサーバーのスペックを増強したり、構成を変更することができません。
しかし、専用環境であれば、アクセスに応じて自由にサーバースペックの増強や負荷分散構成などの構成変更が可能です。
また、他の利用者とサーバーリソース(CPUやメモリ等、ソフトウェアを動かす資源)を共有せず、占有できるため、共用環境よりもアクセス負荷に対する耐性が向上するといったメリットが見込めます。
公益社団法人北海道私立幼稚園協会様の事例
公益社団法人北海道私立幼稚園協会様では、法人事業の一つとして教員免許更新講習の申込受付業務を運営しています。
出典: http://www.hokushiyou.or.jp/
当初は共用環境で運用を開始しましたが、想定を大幅に超えるアクセスが集中し、受付サイトが繋がりづらい状況が断続的に発生し、やむを得ず受付を一時停止せざるを得ませんでした。
この事態に対し、急遽専用環境を準備、ハイスペックなクラウドサーバー上にシステムを設置することで、受付を再開し、事態を収拾させることができました。
株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント様の事例
先の東京ゲームショウ2016におけるVRゲーム試遊の事前予約では、企画当初より予約の殺到が予測されていました。
そのため、過去の東京ゲームショウやその他イベントのアクセス実績をもとにアクセス数を予測、予め専用環境を準備し、数十台のクラウドサーバーによる負荷分散構成で運用することで、システムダウンや遅延による機会損失なく、受付を終えることができました。
出典: http://www.jp.playstation.com/
まとめ
負荷対策に有効な専用環境ですが、サービス事業者によって提供の可否が異なります。
共用環境と比べて費用は高くなりますが、予約サイトがつながらない、重くなることによる機会損失を減らすことができます。
大きなプロモーション予算をかけている場合や、少しでも予約の取りこぼしを減らしたいといった場合には、費用対効果を見極めながら負荷対策を検討されてはいかがでしょうか?